多角的な対策を講じる必要がある【建設業界】
若年層を増やすことがポイント
高齢化がすすんでいる建設業界に若年層を増やすためには、建設業界について知ってもらうことが必要です。といっても、それがすぐに結びつくとは限らないため若年層だけではなく、実際に建設現場で働いている職人や数少ない女性が長く働き続けるために環境を整えることも大切です。たとえば、これまで1人で行ってきた工程を細分化して複数人で分担することで負担を減らすことができますし、女性や経験が少ない見習い工も活躍できる場を増やすことができます。また、細分化することで、重労働といわれていた作業も女性や経験の少ない若年層、さらには外国人や定年退職して再雇用された高齢者も行うことができ、仕事に対する意欲も上がってきます。それ以外にも人手不足解消のためにさまざまな対策が立てられています。
では実際に具体的な取り組みを行って人材確保に成功したA社とB社のケースを例にあげてどの方法が高い効果を出したのか、詳しくみていきましょう。
若年層と女性の採用を定着させたA社のケース
建設業界といっても高い職人の技術を必要とする左官工事から建物の骨組みを行う鉄筋工事、土木現場で働く土木一式工事などその仕事内容はさまざまです。その中でも、経験の積み重ねが重要になる左官工事などは人によってやり方にバラつきがあるため指導法が定まらず、見習い工を採用してもすぐに辞めてしまうという問題がありました。そこで、左官工事を行うA社では指導方法を統一させるために、ipadを活用して左官の基本をまとめることからはじめました。左官職人はベテランの職人の動きを覚えていくのが主流ですが、A社では職人の動きを録画し、その動きを自身の動きと比較しながら仕事を覚えていく方法を取り入れました。その結果、指導者のスケジュールを気にせず自分の時間に合わせて仕事を覚えることができるため効率が良くなり、今まで1年以上かかっていた訓練を1ヶ月足らずで終えることができたのです。何かと時間がかかっていた若年層への指導期間を短縮することができれば、今までよりも早く人材を確保することができますし即戦力として期待することもできます。
また、男性の割合が多い建設業界で女性の割合を増やし、女性ならではの感性を活かすために女性の左官職人を育てようと産休や育休制度を整え子育てしながらでも活躍できる機会を増やしています。
勤務形態を柔軟にして人材を確保したB社のケース
総合建設業を営んでいるB社では、建設業界の悪いイメージを少しでも払拭し多くの人材を確保することを課題とし、まずは安心して働ける環境を作ることからはじめました。妊娠などで出勤できない女性社員にはタブレットなどの形態端末を貸し出してテレワーク勤務に切り替えたり、短時間勤務や家族の事情に合わせて休暇が申請できる制度を取り入れたりと働き方を多様にすることで、より安心して働けるよう環境を整えたのです。
また、若年層を確保するために若い世代の社員の声を積極的に取り上げたり、採用活動には女性を担当にしたりと興味を持ってもらえるようさまざまな工夫も行いました。その結果、育休制度や長期休暇制度を利用した後、復職する社員も増え人材の流出を防ぐことに成功しています。